個人住民税は前年の所得を元に市町村で納税額が決定される事になっており、決定された納税額は市町村から送られてくる決定通知書に記載されています。

納付方法につきましてはサラリーマンの方であれば給与から天引きと言う形で特別徴収が行われ、個人事業主の方や無職の方は一括払いまたは年4回に分けて納付を行います。

個人住民税は市町村から納税額の決定通知書と納付書が送られてきますのでわざわざ自分で計算して納付する必要はありませんが、個人住民税額の計算は意外と簡単に出来ますので、税額がどのような計算方法に基づいて決定されているのか確認してみましょう。

STEP1.課税対象所得額を計算する

個人住民税の税額を算出するには、まずは課税対象所得額を計算する必要があります。課税対象所得額の計算方法は、収入から必要経費や給与所得控除を差し引く所から始まります。

サラリーマンの方であれば給与収入から給与所得控除を差し引き、個人事業主の方であれば事業収入から必要経費を差し引きましょう。所得控除がある場合は所得控除を差し引きましょう。

⇒個人住民税の計算に使用する所得控除の種類と控除額一覧

課税対象所得額の計算方法
課税対象所得額=
収入-(給与所得控除や必要経費)-所得控除

STEP2.調整控除額を計算する

調整控除額は、所得税と住民税の所得控除額の差による住民税の重負担を調整するために設けられている軽減措置制度の事です。調整控除額は課税対象所得額200万円を境にして計算方法が異なります。

調整控除額の計算方法(課税対象所得額200万円以下の場合)
①所得税と人的控除額の差の合計
②課税対象所得額
調整控除額(市町村民税)=
①と②のいずれか小さい金額×3%
調整控除額(道府県民税)=
①と②のいずれか小さい金額×2%
調整控除額の計算方法(課税対象所得額200万円超の場合)
①所得税と人的控除額の差の合計-課税対象所得額-200万円
②5万円
調整控除額(市町村民税)=
①と②のいずれか多い金額×3%
調整控除額(道府県民税)=
①と②のいずれか多い金額×2%

人的控除額の差額につきましては、次の表を参考にして求めて下さい。

人的控除の区分 所得税 住民税 差額
障がい者控除 普通障がい者 27万円 26万円 1万円
特別障がい者 40万円 30万円 10万円
寡婦・寡夫控除 寡婦・寡夫 27万円 26万円 1万円
特別寡婦 35万円 30万円 5万円
勤労学生控除 27万円 26万円 1万円
配偶者控除 一般(70歳未満) 38万円 33万円 5万円
老人(70歳以上) 48万円 38万円 10万円
一般で同居特別障がい者 73万円 56万円 17万円
老人で同居特別障がい者 83万円 61万円 22万円
配偶者特別控除 配偶者の合計所得金額 38万円超
40万円未満
38万円 33万円 5万円
40万円以上
45万円未満
36万円 33万円 3万円
扶養控除 一般扶養親族 38万円 33万円 5万円
特定扶養親族 63万円 45万円 18万円
老人扶養親族 48万円 38万円 10万円
同居老親など 58万円 45万円 13万円
同居特別障がい者 一般扶養親族 73万円 56万円 17万円
特定扶養親族 98万円 68万円 30万円
老人扶養親族 83万円 61万円 22万円
同居老親など 93万円 68万円 25万円
基礎控除 38万円 33万円 5万円

STEP3.住民税の所得割を計算する

住民税の所得割は課税対象所得額の10%(内訳:市町村民税6%、道府県民税4%)です。

住民税の所得割の計算方法
所得割(市町村民税)=
課税対象所得額×6%
所得割(道府県民税)=
課税対象所得額×4%

STEP4.住民税の均等割を確認する

住民税の均等割の標準税額は、市町村民税が3000円で道府県民税が1000円となっています。平成26年度から平成35年度までの10年間は、復興増税としてそれぞれ500円ずつ加算されます。

地域によってはさらに均等割に税額が加算されている事もありますので、お住まいの自治体のホームページ等で確認してください。

住民税の均等割の計算方法
均等割(市町村民税)=
3000円+500円+α
均等割(道府県民税)=
1000円+500円+α

STEP5.住民税額を計算する

STEP2からSTEP4までに算出した金額をまとめて住民税額を計算します。計算式に代入する金額は、それぞれ市町村民税と道府県民税の合計金額です。

住民税の計算方法
住民税額=
所得割+均等割-調整控除額

住民税は所得に関係なく課税される均等割がありますので、無職の方でも納税の義務が生じます。