個人事業主から法人成りをした方なら知っている方も多いとは思いますが、事業で出した赤字は他の所得と損益通算を行って相殺する事が出来ます。
しかし、損益通算を行ってもまだ赤字が残る場合には、翌年以降に赤字を繰り越しても良い事になっています。これを純損失の繰越控除と言います。
純損失の繰越控除を受けるには青色申告をしているのが条件となっており、個人事業者でも法人でもその条件に変わりはありません。
但し、個人事業者が赤字を繰り越せる期間が最長3年なのに対して、法人の場合は繰越控除期間が個人事業者の3倍の最長9年となっています。
事業形態 | 赤字を繰り越せる期間 |
---|---|
個人 | 最長3年 |
法人 | 最長9年 |
法人の純損失の繰越控除の仕組み
法人が利用できる純損失の繰越控除は、赤字が出た年度の翌年度を1年目として9年間繰り越す事が出来るようになっています。
もし開業1年目で100万円の赤字が出て2年目に200万円の赤字が出た場合には、開業10年目に1年目の繰越控除適用期限が来て11年目に2年目の繰越控除適用期限が来る事になります。
税務作業を税理士の方に依頼している場合にはこんな事で悩む必要はないかもしれませんが、そうでない場合には混乱を避ける為にも赤字を年度ごとに分けて考える必要があります。
役員報酬を高くして強引に赤字にした場合
役員報酬をいくらにしなさいとは法律に定められていないので、会社で任意に役員報酬額を決定しても構わないのですが、売上に対して赤字になるほどの役員報酬額にしてしまうと税務署に指摘を受ける可能性が高くなります。
また、役員報酬を高くしてしまうとそれを受け取る個人の所得税や住民税が高くなりますので、節税を考える場合には会社と個人の両方で考える必要があります。
役員報酬の目安としては一般的な生活水準に準じた金額が妥当ですので、平成26年12月現在では400万円~500万円位が適当な所だと思います。