相続税計算の第一歩は、亡くなった人の残した権利義務などの財産を全て金銭に評価して集計する所から始まります。
集計した金額は遺産総額と言い、相続税の計算をする場合にはこの金額をベースにして行います。遺産総額からは一定の金額を差し引ける事になっていますが、代表的なものに基礎控除があります。
基礎控除は誰でも利用する事が出来ますので、基礎控除額よりも少ない遺産総額であれば相続税が課せられることはありません。遺産総額から差し引けるものには基礎控除の他にも債務や葬儀費用などがあります。
- 遺産総額から差し引けるもの
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- 基礎控除
- 債務
- 未納の税金
- 葬儀費用
遺産総額から基礎控除などを差し引いて算出された課税対象遺産総額がプラスである場合は、さらにそこからその金額を分けたり税率を掛けたりして相続税額を計算します。
色々な計算を経て相続人の相続割合に応じた税額が按分されますが、一番最後にそれぞれの相続人に適用される税額控除を差し引く事が出来ます。税額控除は節税効果が大きいので、忘れないようにしっかりと覚えておきましょう。
- 税額から直接差し引ける税額控除
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- 贈与税額控除
相続開始前の3年以内に受けた贈与に対して納付した贈与税額を差し引けます。 - 配偶者の税額軽減
配偶者の受け取った財産が遺産の1/2以下である場合や、1億6000万円以下の相続財産であるなら配偶者に相続税はかかりません。 - 未成年者控除
20歳未満の法定相続人は[(20歳-相続開始時の年齢)×6万円(※1)]を差し引く事が出来ます。 - 障害者控除
85歳未満で障害のある法定相続人は[(85歳-相続開始時の年齢)×6万円【特別障害者なら12万円】(※2)]を差し引く事が出来ます。 - 相次相続控除
10年以内に同じ財産に2回以上の相続が生じた場合、2回目の相続時に1回目に納めた税額の一部を差し引けます。 - 相続時精算課税分の贈与税額控除
相続時精算課税制度を選択して贈与税を納めていた場合に、その税額を差し引けます。
- 贈与税額控除
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(※1)平成27年からは10万円となります。
(※2)平成27年からは10万円となり、特別障害者の場合は20万円となります。
遺産に債務が含まれている時の選択肢
被相続人に多額の借金がある場合は、遺産総額自体がマイナスとなる事もあります。このような場合は全ての財産を相続しない相続放棄という選択が可能です。
また債務の額がよく分からない場合などは、相続した財産の範囲内に限って債務を引き継ぐ限定承認と言う方法もあります。いずれの場合も相続を開始した時から3ヶ月以内に、家庭裁判所で手続きを行う必要があります。