相続税の計算をする際に行う遺産総額の計算や、算出した税額を法定相続人の相続割合に応じて分ける計算を正確に行うことは、かなり難易度の高い税務作業となります。しかし概算であれば、素人の方でも一定の手順を進めて行くだけで簡単に計算をする事が出来ます。

相続税の計算を税理士に依頼する前に、相続財産に対してどれぐらいの税金がかかるのかを事前に確認しておきましょう。

STEP1.遺産総額を計算する

まずはじめに、相続税の対象となる全ての資産を調べて金銭に換算してから遺産金額の合計を算出します。非課税財産や葬儀代などがある場合は、遺産総額から差し引きます。

保険金や退職手当金などの一定部分につきましては[法定相続人の数×500万円]を非課税金額として差し引きます。

遺産総額=
土地、建物、有価証券などの評価額-葬儀代など

STEP2.基礎控除を差し引いて課税遺産総額を出す

STEP1で算出した遺産総額から基礎控除を差し引きます。基礎控除の計算方法は平成27年から変更となりますので注意して下さい。

基礎控除額の計算方法
平成26年12月31日まで 平成27年1月1日から
基礎控除=
5000万円+1000万円×法定相続人の数
基礎控除=
3000万円+600万円×法定相続人の数
課税遺産総額=
遺産総額-基礎控除

この時に課税遺産総額がマイナスになっている場合は相続税はかかりませんので、確定申告をする必要はありません。

STEP3.課税遺産総額を法定相続分で分ける

STEP2で算出した課税遺産総額を、各相続人の法定相続分で分割します。

配偶者がいる場合の代表的な法定相続分
相続人 配偶者の相続分 配偶者以外の相続人の相続分
配偶者と子 2分の1 2分の1
配偶者と直系尊属 3分の2 3分の1
配偶者と兄弟姉妹 4分の3 4分の1

ここでは配偶者と子2人が相続人と言う事にして、課税遺産総額を法定相続分で分けてみます。

配偶者と子が相続人の場合の法定相続分の割り当ては、配偶者が2分の1で子も2分の1ですが、子が複数いる場合は割り当てられている2分の1を子の人数で分割します。

配偶者の法定相続分=課税遺産総額×2分の1
子Aの法定相続分=課税遺産総額×4分の1
子Bの法定相続分=課税遺産総額×4分の1

STEP4.相続税を掛けて各相続人の仮の税額を出す

STEP3で各相続人に分けられた課税遺産に、金額に応じた相続税率をかけてそれぞれの相続税額を計算します。

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相続税の速算表
法定相続による各相続人の取得金額 平成26年まで 平成27年から
税率 控除額 税率 控除額
1000万円以下 10% なし 10% なし
1000万円超3000万円以下 15% 50万円 15% 50万円
3000万円超5000万円以下 20% 200万円 20% 200万円
5000万円超1億円以下 30% 700万円 30% 700万円
1億円超2億円以下 40% 1700万円 40% 1700万円
2億円超3億円以下 40% 1700万円 45% 2700万円
3億円超6億円以下 50% 4700万円 50% 4200万円
6億円超 50% 4700万円 55% 7200万円
各相続人の法定相続分の仮の相続税額=
各相続人の法定相続分×税率-控除額

STEP5.各相続人の仮の税額を合計する

STEP4で各相続人の仮の税額を算出したら、それらを合計して相続税の総額を出します。

相続税の総額=
配偶者の仮の相続税額+子Aの仮の相続税額+子Bの仮の相続税額

STEP6.実際の相続割合で税額を分ける

STEP5で合計した相続税の総額から、遺産分割協議によって各相続人が実際に相続する割合で税額を按分します。ここでは遺産分割協議によって配偶者が6割、子Aが3割、子Bが1割と言う事にして分けてみます。

配偶者の割り当て税額=相続税の総額×60%
子Aの割り当て税額=相続税の総額×30%
子Bの割り当て税額=相続税の総額×10%

STEP7.各相続人に当てはまる税額控除を差し引いて税額加算を加える

STEP6で各相続人に割り当てられた税額から各相続人に適用される税額控除を差し引いて、最終的な納税額を計算します。

各相続人の割り当て税額から差し引ける税額控除の種類
  • 贈与税額控除
  • 配偶者の税額軽減
  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除
  • 相続時精算課税分の贈与税額控除

一番利用されやすい配偶者の税額軽減が適用される場合の控除額は、[STEP5で合計した相続税の総額×①と②のいずれか少ない方の金額÷STEP2の課税遺産総額=配偶者の税額控除額]となります。

配偶者の税額軽減を利用した場合の控除額の計算に代入する金額
①STEP2の課税遺産総額×配偶者の法定相続分または1億6000万円のいずれか多い方の金額
②配偶者の実際の取得財産の価格

相続税の納付期限は10カ月

相続税は被相続人が亡くなってから10カ月の内に納めなければなりません。時間の猶予はあるようで実際にはないというのが現実です。

複雑な相続税の計算は計算が得意な方でも時間がかかるものですので、早めに税理士などの専門家に相談して正しい納税を行うようにしていきましょう。

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