相続財産は相続税計算のベースとなりますので、金銭に換算できるものは全て金銭評価をして遺産総額をまとめなければなりません。金銭評価には、財産評価基本通達という財産の評価方法が定められた統一ルールを使用します。
財産評価基本通達では財産ごとに異なる評価方法が記されていますので、興味のある方は自分の相続する財産がどれぐらいの評価額となるのか計算してみましょう。
主な相続財産の金銭評価方法の一覧
財産の金銭評価を概算で出すのはそれほど難しくはありませんが、実際に評価を行う時には間違いのないように税理士などの専門家に相談するようにしましょう。
土地
- 路線価が定められている自用地
-
評価額=
路線価格×土地の面積×補正率や加算率など
自用地は自分で所有して使用している土地の事です。路線価とはその土地に接する道路につけられた価額の事で、毎年7月に国税庁が更新しているものを代入します。
自用地の面している道路の数や土地の奥行きなどにより、補正率や加算率を乗じて評価額の調整を行います。
- 路線価が定められていない自用地
-
評価額=
固定資産税評価額×該当地の倍率
固定資産税評価額に乗じる倍率は、国税庁のホームページに掲載されている財産評価基準書で確認する事が出来ます。
-
貸家建付地
(貸アパートなどを建てている自分所有の土地) -
評価額=
自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
自用地評価額は、路線価が定められている場合と定められていない場合の計算方法によって求められた数値を代入します。借地権割合や借家権割合は地域によって異なりますので、財産評価基準書で確認してください。
賃貸割合は貸家の入居率が反映されるようになっており、[賃貸されている床面積の合計÷総床面積]が賃貸割合となります。
-
貸宅地
(自分所有の土地を他人に貸している場合) -
評価額=
自用地評価額×(1-借地権割合) -
借地権
(土地を借りている場合に付与されている権利) -
評価額=
自用地評価額×借地権割合
建物
- 自分で所有している家
- 評価額=固定資産税評価額
固定資産税評価額は市町村の税務課などで調べる事が出来ます。
- 貸家
-
評価額=
家屋の価格×(1-30%×賃貸割合)
株式
- 上場株式
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評価額=
①~④の最も低い価格 -
①相続開始の日の終値
②相続開始月の月平均の終値
③相続開始月の前月の月平均の終値
④相続開始月の前々月の月平均の終値 - 取引相場のない株式
-
評価額=
株式を発行した会社の純資産などからの評価
会社の規模や会社の状態によって、株式の評価方式が異なります。
ゴルフ会員権
-
取引相場のあるゴルフ会員権
(市場で売買されている場合) -
評価額=
取引価格×70%+取引価格に含まれない預託金 -
取引相場のないゴルフ会員権
(市場で売買されていない場合) -
評価額=
株式としての評価額+預託金
単にプレーが出来るだけのゴルフ会員権や、ゴルフ場を経営していた法人が倒産した場合は、金銭評価をすることはできません。
その他の財産
- 預貯金
- 評価額=預け入れ残高
定期預金などの場合は、相続開始日までの経過利息を加算します。
- 生命保険金・死亡退職金
-
評価額=
受取金額-(500万円×法定相続人の人数) - 書画・骨とう品
- 評価額=売買実例価格
売買実例価格が明らかでない場合は専門家の鑑定価額を参考にします。
- 自家用車、テレビ、パソコンなどの家庭用動産
- 評価額=調達価格
調達価格が明らかでない場合は[新品の価格-減価償却費]で計算します。