相続税の納付は原則として金銭による一括納付となっていますが、納付期限までに現金が用意できなかった場合は相続税を分割して納める延納と言う納税方法を申請する事が出来ます。
延納でも納付が難しい場合には、不動産や債券などを直接納付する物納と言う方法を取る事も出来ます。
相続税の延納
相続税の納付において一定の条件を満たす場合には、相続税の分割納付が認められています。
- 延納の条件
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- 金銭による一括納付が困難である事。
- 相続税額が10万円を超える事。
- 一定の担保を提供できる事。
延納条件を満たしている場合は納付期限までに延納申請書を提出する事で、相続税を分割して納められるようになります。
延納できる期間
相続税の延納期間は原則として5年以内となりますが、相続税額の計算をする際にベースとなる遺産総額のうちに占める不動産等の価額の割合が50%以上の時は、その割合に応じて最長20年の延納期間が設けられています。
尚、延納期間に応じて一定の利子税がかかりますので、安易に延納を選択すると余計な税金を支払う羽目になります。
相続税の物納
相続税の延納制度を利用しても現金納付が困難な場合には、困難な納付額を限度として一定の相続財産を現物納付する事が認められています。この制度の事を物納と言い、物納制度を利用するには一定の条件を満たす必要があります。
- 物納の条件
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- 延納でも金銭による納付が困難である事。
- 物納しようとする財産が物納適格財産である事。
物納条件を満たしている場合は納付期限までに物納申請書を提出する事で、相続税を金銭に代わって現物で納めることが可能になります。
物納できる財産とできない財産
物納が出来る財産は相続税の計算の時に取りまとめた相続財産のうち、国債、地方債、不動産、社債、株式などがあります。
これらの財産には順位が付けられており、上位のものから現物納付財産にあてられます。但し抵当権の付いた土地や境界がはっきりしていない土地などは、物納財産にすることはできません。