定年後は年金を貰いながらのんびりと海外で生活をしたいと言う方が増えていますが、海外で年金をもらう場合には出国をする前に様々な手続きを済ませておかなければなりません。
市区町村に海外転出届を提出する
まず始めにしなければならない事は、出国前の住所を管轄する市区町村に行って海外転出届を提出する事です。海外転出届は転出日の14日前から提出する事が可能ですので、直前になってあわてる事のないように早めに済ませておきましょう。
海外転出届を提出する事によって日本国内に住んでいない非居住者として扱われますので、国内における所得税の納付義務が一時停止します。さらに非居住者の場合は住民税の納付義務者の要件にも該当しなくなりますので、住民税の納付義務も一時停止します。
これらの税金は転出届によって国内での納付義務はなくなりますが、移住先の税制に従って現地で納税を行わなければなりません。
そして非居住者になると日本の国民健康保険が失効してしまいますので、移住先によっては医療費が高額になる恐れがありますので注意して下さい。
社会保険事務所に海外転居の為の書類を提出する
海外転出届を提出し終えたら出国前の住所を管轄する社会保険事務所に行って、海外で年金を受け取る為の必要書類に所定事項を記入して提出します。
この時、年金を受け取る金融機関を海外の金融機関に変更する事が出来ますが、海外への送金の場合には送金コードの設定も必須となっている場合があります。
万が一必要書類に記入漏れや記入ミスがあった場合には年金を受け取る事が出来なくなりますので、書類の訂正がすぐに行えるように時間に余裕を持って手続きを行って下さい。
海外で受け取る年金にかかる税金
日本の公的年金制度には、障害年金、遺族年金、老齢年金の3種類がありますが、障害年金と遺族年金につきましては居住者の場合は非課税となっており、老齢年金についてのみ雑所得として所得税が課せられます。
居住者である場合には、1年間の年金の支給額から支給額に応じた一定の控除額を差し引いた金額に5.105%を乗じた金額が、年金の支払い時に源泉徴収されます。
非居住者が受け取る公的年金の税金につきましては、居住者の時と同様に年金の支払い時に源泉徴収が行われますが、居住者の時と比べると税率が約4倍となっています。
- 非居住者が受け取る年金の1ヵ月あたりの源泉徴収額
-
1ヵ月あたりの源泉徴収額=
1ヵ月あたりの課税対象所得額×20.42% -
1ヵ月あたりの課税対象所得額=
1ヵ月あたりに支払われる年金額-6万円または10万円(※1) - (※1)65歳未満の場合は6万円、65歳以上の場合は10万円を差し引きます。
滞在国と年金に関わる租税条約が結ばれている場合に社会保険事務所に租税条約に関する届出書を提出すると、滞在国の税率による課税に変更する事が出来ます。もし滞在国の税率が日本よりも安ければ、結果的に節税となる事もあります。