個人で行ってきた事業が軌道に乗ってきた時には、個人のまま事業を継続していくのか、それとも法人になって事業を拡大していくのかを迷う事があります。
一般的に言われている法人になった場合のメリットには、節税、信頼、見栄などがありますが、その反面で記帳は複式簿記が義務付けられていたり、赤字になった場合でも負担しなければならない税金が増えたりします。
- 法人のメリット
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- 一定額以上の所得がある場合は、個人事業よりも税負担が軽い。
- 経営者でも社会保険に加入する事が出来る。
- 取引先、金融機関、世間的な信頼が得られやすい。
- 法人のデメリット
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- 所得が低い場合には、個人事業よりも税負担が重い。
- 複式簿記が必須になるので、税務作業が増える。
- 会社設立時に費用がかかる。
- 赤字でも法人住民税の均等割負担部分を支払う必要がある。
- 株式会社の場合は、一定期間ごとに役員の改選手続きをする必要がある。
個人事業から法人化にする時の目安
法人にすると税金面や営業面に対する魅力的なメリットがたくさんありますが、コスト面や事務作業の煩雑さを考えると法人化しようという踏ん切りがつかなくなると思います。
個人事業から法人にする時の一応の目安としては、所得額が400万円以上になったらというのがありますが、これはあまり気にする必要はありません。
節税の為に安易に法人化をしてしまうと、赤字になった時にも余計にお金がかかりますし、会社を辞める時にもお金がかかります。
ですから、所得がある程度増えて従業員を雇うようになり、今後も事業を拡大していく予定の方が法人化するのがベストな目安です。
法人と個人事業の税金の違い
個人事業者の場合は所得に所得税が課せられますが、法人になると法人税が課せられます。所得税は超過累進税率なので、所得が多くなるに従って負担税率も高くなっていきます。
法人税の場合は税率がほとんど変わらないので、所得が多くなる場合には所得税よりも税額を有利に計算する事が出来ます。
法人(資本金1億円以下の場合) | 個人 | ||
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税金の種類 | 税率 | 税金の種類 | 税率 |
法人税 |
所得800万円以下なら一律15% 所得800万円超なら一律25.5% |
所得税 |
所得800万円以下なら5%~23% 所得800万円超なら23%~40% |
復興特別法人税 |
所得800万円以下なら一律1.5% 所得800万円超なら一律2.55% |
復興特別所得税 |
所得800万円以下なら0.105%~0.483% 所得800万円超なら0.483%~0.84% |
法人住民税 | 17.3%+均等割 | 住民税 | 10%+均等割 |
法人事業税 |
所得800万円以下なら2.7%~4% 所得800万円超なら一律5.3% |
事業税 | (事業所得-290万円)×3%~5% |