個人で事業を行っている時には自分の税金分だけを計算して納税をすればいいのですが、法人で事業を行う場合には自分の税金とは別に法人の税金も支払う必要性が生じます。
これから会社を設立しようと思っている方や法人成りを検討している方は、法人に課せられる税金は意外に多いと言う事を覚えておきましょう。
税目 | 租税区分 | |
---|---|---|
法人税 | 国税 | |
復興特別法人税 | 国税 | |
法人住民税 | 法人県民税 | 道府県税 |
法人市民税 | 市町村税 | |
法人事業税 | 道府県税 | |
地方法人特別税 | 国税 |
法人税の税率
法人税は法人に課せられる所得税のようなものですが、税率の上限は25.5%と決まっていますので、個人が納める所得税率よりもかなり低い税率で計算する事が出来ます。
課税所得額 | 法人税率 | |
---|---|---|
平成27年3月31日まで | 平成27年4月1日から | |
800万円以下 | 15% | 19% |
800万円超 | 25.5% | 25.5% |
課税所得額が800万円以下の場合は負担税率が軽くなりますが、資本金が1億円以上の場合は課税所得額が800万円以下でも法人税率が25.5%になります。
- 法人税の計算式
-
法人税額=
課税所得額×法人税率
復興特別法人税の税率
復興特別法人税は平成24年4月1日から平成27年3月31日までの3年間課税される税金で、法人税率の10%が復興特別法人税の税率となります。もし法人税の税率が25.5%だった場合は、復興特別法人税の税率は2.55%となります。
課税所得額 | 法人税率 | |
---|---|---|
平成27年3月31日まで | 平成27年4月1日から | |
800万円以下 | 1.5% | - |
800万円超 | 2.55% | - |
- 法人税の計算式
-
復興特別法人税額=
課税所得額×復興特別法人税率
法人住民税の税率
法人住民税には、法人割、均等割、利子割の3種類の課税割り当てがあります。
法人住民税の法人割
法人割は法人税額に対して一定の税率を乗じる事になっており、資本金が1億円以下で法人税額が1000万円以下の場合は税率17.3%、それ以外の場合は税率20.7%で計算をします。
- 法人住民税の法人割の計算式
-
法人割税額=
法人税額×17.3%または20.7%
法人割の税率に対する県民税と市民税の内訳は、次のようになります。
税率 | 道府県民税の割り当て分 | 市町村税の割り当て分 |
---|---|---|
17.3%(標準税率) | 5% | 12.3% |
20.7%(制限税率) | 6% | 14.7% |
法人住民税の均等割
均等割は利益に対する課税ではなく、会社の資本金や従業員数などの事業規模に応じて課税が行われます。従いまして、その年の法人の所得額がマイナスになった場合でも、法人住民税の均等割の支払い義務は生じる事になります。
資本金等の金額 | 従業員数 | 市町村民税 | 道府県民税 | 東京都特別区の都民税 |
---|---|---|---|---|
1000万円以下 | 50人以下 | 5万円 | 2万円 | 7万円 |
50人超 | 12万円 | 14万円 | ||
1000万円超 1億円以下 |
50人以下 | 13万円 | 5万円 | 18万円 |
50人超 | 15万円 | 20万円 | ||
1億円超 10億円以下 |
50人以下 | 16万円 | 13万円 | 29万円 |
50人超 | 40万円 | 53万円 | ||
10億円超 50億円以下 |
50人以下 | 41万円 | 54万円 | 95万円 |
50人超 | 175万円 | 229万円 | ||
50億円超 | 50人以下 | 41万円 | 80万円 | 121万円 |
50人超 | 300万円 | 380万円 |
法人住民税の利子割
利子割は金融機関などに預けている預貯金の利子に対する課税のことで、利子の5%が金融機関等により特別徴収されているので、通常は申告・納税をする必要はありません。
- 法人住民税の利子割の計算式
-
利子割税額=
利子×5%
但し、法人の所得が赤字になった時などは、申告をする事によって源泉徴収された利子割の還付を受けられる場合があります。
法人事業税の税率
法人事業税は法人の形態や事業規模によって税率が異なります。外形標準課税の対象となる法人の場合は法人事業税の負担税率が軽くなりますが、外形標準課税の対象となるには資本金または出資金が1億円を超えていることが条件となります。
- 外形標準課税の対象となる法人となる条件
-
- 事業年度終了日における資本金または出資金額が1億円を超えている所得課税法人である事。
所得額 | 法人事業税率 | ||
---|---|---|---|
外形標準課税の 対象法人 |
外形標準課税の 対象外法人 |
||
普通法人 株式会社や 有限会社など |
特別法人 協同組合や 医療法人など |
||
400万円以下の部分 | 2.2% | 3.4% | |
400万円超 800万円以下の部分 |
3.2% | 5.1% | 4.6% |
800万円超の部分 | 4.3% | 6.7% |
電気・ガス供給業や生命・損害保険事業を行っている収入金課税法人に該当する法人の場合は、収入に対して一律0.9%の税率が課せられます。
- 法人事業税の計算式
-
法人事業税額=
所得額または収入額×税率
地方法人特別税の税率
地方法人特別税は法人事業税を納付する人を対象として課税される税金で、法人の事業内容や事業規模に応じて一定の税率が設けられています。
対象法人 | 事業年度の開始日 | |
---|---|---|
平成26年9月30日以前 | 平成26年10月1日以後 | |
外形標準課税対象法人 | 148% | 67.4% |
外形標準課税対象外法人 | 81% | 43.2% |
収入金額課税法人 |
税率だけを見ると負担割合がかなり高くなっているように感じますが、地方法人特別税の税率は法人事業税の計算を行った後に乗じますので、実際は法人事業税額よりも低くなるケースの方が多いです。
- 地方法人特別税の計算式
-
地方法人特別税額=
法人事業税額×税率